2024J3 #15 大宮vs長野『5-4を引く相手に見せた新たな武器!サイドの突破と小島のミドル!』

パスサッカーの成熟を感じました!泉くんのドリブルが効いてたね!

ハイライト

個人的に4点目の崩しが好き!

フォーメーション

試合レビュー

なかなかチャンスクリエイトできない前半と修正がしっかりと結びついた後半

前半の入りに関しては暑さのせいかはわからないですが、自分たちがチャンスを作った中でも相手にもチャンスがありました

レビュー、アルトゥールシルバのインタビューより

アルトゥールが言うように前半はなかなかに決定機会に結びつけられないシーンが多く長澤監督も『25分までは』の言葉通りややオープンな試合になっていました。

長野は最初左右に揺さぶるようなパスで大宮の出方を伺ったシーンが印象的で大宮のオーバーロードを掻い潜る可能性を少し見出せそうではあった。

前半3分に長野の1番なビッグチャンスが到来村上がマークを外されたところを西村のヘディングは笠原が2度も止めた。あのシーンで失点していたらかなり流れが悪くなったが立ち上がりよく集中していました。

大宮のエンジンがかかり始め前からのハイプレスが機能するようになり長野の攻撃を食い止める時間が増えてきた。

気になるトランジションの差

何よりもトランジションの質がこの試合をわけた要因はかなり大きい。大宮は村上がパスアンドゴーでオーバーラップしたシーンの後、当然村上がオーバーラップしているということはCBは2枚のみのシーンも奪われた際にすぐ切り替えボール奪取に成功していた、このシーンだけでも練習内容が生かされている場面に感じました。

長野の前線5枚を置く攻撃スタイル

長野の攻撃は前線に厚みをかける最近のトレンドを意識したやり方。前線に5枚を並べらような形で大宮も似たようなことをしますが、MF陣にパスが回らないため攻撃は停滞しているように感じました、大宮の場合は引き出す選手が複数人いてその引き出し役の空いた穴を他の選手が入ることで補完します。長野の場合はボランチとWBのコンビネーションで崩すシーンこそありましたが他の連動が使えるかでだいぶ局面が変わりそうです。

偽CBの採用

大宮は新しい試みとして市原の偽CBを採用していました。ビルドアップ時に両脇の2枚のCBを残して市原がボランチの位置に入ります。こうすることで中央の数的優位を作り出す狙いで、個人的には選手こそ違いましたが読み通り。結果的に中央に人数をかけることで前へとボールを動かしたり、泉がスペースを使えるようになったのは大きいですね。

これに関しては長野はオーバーラップで活用、26分黒石と池ヶ谷、小西のコンビネーションで崩し切ったシーンがありました。それ以外ではあまり効果的なシーンは長野は見られず、ここのリスクの取り方ボールの保持する時間も関わってきますが違いがありました。

練習の成果もあるか小島のライジングミドル

フリーキックも面白いデザインの仕方で最終しっかりクロスまで入れられた。やはりシュートの意識が全体で向上していると感じることです。福井ユナイテッド戦の短いハイライトの中でも感じた迷いがないシュート意識、『シュートは迷ったら負け』ドイツ代表で活躍されたゲルトミュラーさんの言葉だがまさしく勝負事をわからのはこの一瞬の判断だということだろうと感じる。

サイドの選手の帰陣をいかにフォローするか?

続いては失点シーンになった22分。これはフリーキックからの流れでの失点ではあったが、そのフリーキックはなぜ起きたか深掘りをしなければならない。やはり構造上仕方ないことだがサイドの守備をフォローするかではある。大外レーンを1人でクリアするには難しい何よりも奪われた後のカウンターというのが痛かった。

ただこの後のシーン大宮は下を向かなかったし試合に慣れてきた印象与えたのは今思うと追いつかれた時のメンタリティはありそう。

前節で見せた流動的補完ポジショニング

大宮のポジショニングは位置がある程度決まっている。ただ、そこにそのポジションに近い選手がいるかは別問題。24分のシーンは藤井や下口が連動して動き相手を錯乱させることに成功している。讃岐戦のアルトゥールの得点を思い出して欲しい。あのゴールも選手は1人が動くことでその間場所に入りパスコースを増やし進軍をして得点を手にした。今回は惜しくもクロスまででシュートまでは行かないものの徐々にやりたいサッカーが目に見えてきている。

そして、この辺りからか長野の構造の弱点が見えてきた。

ボランチ補助があれば変わりそうな長野

良くも悪くもボランチ主体のチームであり、そこが機能しないと攻守においてクオリティ不足になる。当たり前な話ではあるがシステムで改善するか、フォローをどうしていくかの話である。

23分大宮がボールを持ちカウンターで詰めるシーン、ここでプレスバックがなくIHが守備に戻るのが遅れているシーンがあった。戻りに尽力しているのはボランチ、大宮の場合はIHも帰陣を促す。走力戦での軍配があったようにも感じました。

もちろん良いシーンもありました。30分、大宮のIHとFWの間のスペースを活用して17番の忽那が恐らく古賀との連携で上手く動き崩していましたね。

サイドを制した泉のドリブル

予想スタメン、フォーメーションを見るからに久しぶりにサイドが数的同数となる試合。それを制したのは大宮アルディージャの泉だった。

これまでチーム最多のドリブル数とチャンスメイク数で貢献している泉ですが本日も多くの決定機会を演出、スタミナに関しても後半バテている様子はあまり見られず要所の潰しもできWBとしても大きく着実に成長している。

まず泉のボールの受ける位置がやや後方からスタートしているシーンが多い。前述した通りサイドの人数は数的同数。もちろん流れの中では変わりはするが常にSBとSMFに狙われる数的不利とは違い後方側にスペースが生まれる。長野も同じくWBの採用ではあるが、守備に関しては5枚の構えにしないと大宮の人数をかけた攻撃は耐えられない。泉以外に杉本や藤井といったFW陣や石川のIHがサイドを狙っていることもあり迂闊には飛び込まない。何よりもハーフスペースを常に狙う選手もいることからRCBとRWBは釘を刺されている状態になりドリブラー1VSディフェンダー2枚の構図が作りにくく泉のカットインが刺さったし、その中で杉本などのフォローで崩し大宮の2点目や3点目の流れに繋がった。

イメージはこんな感じ、最近は石川が中へ藤井が外への流れも多い

サイドのジレンマから生まれた2点目3点目

48分リスクをかけて攻めた大宮はお得意なシーン、カウンター時の起点はボールをキープできる杉本からスタート。ボールを持ち急がない、キープをしながら他選手の上がりを待つ。大宮は全選手のトランジションが早いのでほんの少しの間があれば、攻め上がりは容易。泉の前へ向かう動きに警戒したWBが釣り出され、キープ役を終えた杉本はスペースを見つけ走り出し、その危機察知でRCBが釣られ藤井と石川が使えるスペースを創造し、落ち着いている藤井はスルーの判断。石川はしっかり持ち替え狙いを済ましたシュートで再び突き放しに成功した。

選手の動き出し、釣り出しから生まれたスペースを幾度と使い得点を奪う。人数をかける意味をしっかりと得点に結びつけるのは今年の良いところ。

同じく57分左サイドから。これは藤井がハーフスペースレーンに入りボールを引き受ける。泉は外から内に入り得意なコントロールカーブのイメージもあってか。藤井はボールを受け取りポケットへ侵入を試みるが難しい。泉がFWの位置に入るのでサイドにスペースが空くところを利用して杉本がそこに入る。藤井と杉本のワンツーで深い位置からクロスを上げアルトゥールのヘディングで3点目。

CBのオーバーラップで人数をかけた4点目

今シーズンの大宮のもう個人的には名物化しているCBのオーバーラップ。組み立てに人数を使い逆にペナルティ内には人数が揃えなかったのは課題の一つになりそうではあるが、うまく浦上のオーバーラップを活かすことに成功した一連のプレーからアルトゥールのミドルが炸裂した。

浦上の動きだしが攻撃の開始のリズムになる。開始時点での浦上のポジションはボランチのそれでありサイドに石川、小島。相手の5−4のブロックを崩すにはボールサイドに人数をかけて掻い潜っていくのが大宮の答えということになりそうですね。

アルトゥールのミドル含めてパス回しの警戒もして行かないといけないのでいかに前でパスを回させないかも相手は考えないといけなさそうです。

これからの気温・湿度へはどう対応していくか

この試合では83分ごろまでかなり前からのプレスを行い刈り取るシーンが見受けられた。長野も3点差とはいえ得失点を減らす意味でも攻撃をしていきたいという気持ちは見せていた、しかしこの時間まで大宮が前線からプレスをこられてはプレッシャーが強く難しい展開になってしまった印象は大きい。

“気温28.5℃、湿度32%”

ここからの季節は湿度が上がりどう対応していくのか。相変わらずの強度なのか、僕の記憶の中の大宮はこの夏に屈して残留争いに巻き込まれる印象である。

好調グループ第1戦は無事に勝てた。次は金沢戦。相手は大宮を古くから知る伊藤監督、渋谷コーチが率いるツエーゲン金沢相手。生まれ変わった新生大宮を見せつけたい所。